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相続セミナー(相続登記を省略して不動産の売買の登記は可能か?)

こんにちは。司法書士の横山和史です。

不動産業者なかには,現在の不動産の登記名義人が亡くなっているのに相続登記を先に相続人に薦めずに仲介の依頼を相続人から受託してしまう人がいます。

例えば,不動産会社Yは,死亡したA所有の不動産の相続人BCDから売却依頼を受けました。しかし,登記名義人相続登記をしてはおらず,亡Aのままです。

BCDとの面談で,彼らはYに対して,相続人は3人以外にはいないと発言しました。
YはBCDの発言を信じて,この不動産の購入を希望するXを見つけてきて,BCDのうちBが代表して相続することになっていたので,XとBの売買契約を締結しました。決済日は1ヵ月後に決まりました。

後日,YはBCDに司法書士Sを紹介し,相続登記を依頼させた。
司法書士Sが戸籍や除籍で確認したところ,相続人はBCDのみならずEが存在することがわかりました。

EはAが若い頃に結婚してすぐに離婚した前妻の子供でした。BCDは,その事実を聞かされていませんでした。

相続手続きは,相続人全員に遺言書が存在しない限り法律で決められた相続分があります。
司法書士SとBからEに連絡しましたが,Eは遺産分割協議に参加する気持ちはなく相続登記にも協力してもらえませんでした。

結局XとBの売買契約は解除せざるを得なくなりました。

不動産登記手続きは,原則として,法律上の原因が発生した順番に登記をしなければなりません。この例の場合ですと①AからBへの相続登記②BからXへの売買による所有権移転登記となります。法律上,相続登記を省略することは認められていません。

また,亡AからBの相続登記の前提として,相続人BCDE全員により,Bが亡Aの不動産を取得するという遺産分割協議をしなければなりません。

相続人を1人でも除外してしまうと遺産分割協議は無効になります。
この例ではEが,遺産分割協議に参加しないのでBが単独で亡A名義の不動産を相続することはできません。

このように,不動産の売却を検討するときに名義人が亡くなっている場合には必ず相続登記が必要になります。

ですから,正しい方法は,YはBCDが知らない相続人が存在する可能性も考慮して,YがBCDに対して,司法書士に依頼して相続登記を先に完了してもらうようにアドバイスをすべきなのです。

相続登記が完了していない不動産をお持ちの相続人の方は,不動産業者の言われるままに手続きを進行するのではなく相続登記の重要性に十分ご注意いただければと思います。

 
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