不動産の生前贈与の注意点
こんにちは。愛知県名古屋市天白区塩釜口の司法書士横山和史です。
今年の1月1日から相続税法が改正されました。
非課税控除額が減額されたり,最高税率が引き上げられたりして,相続税に対して不安をお持ちの方も多くないかと思います。
税金が関係してくる生前贈与については,後日ご紹介するとして,今日は,親から子供への土地の生前贈与について考えてみます。
時々,登記簿謄本を拝見するとこのような所有者名義の不動産があります。
所有権移転
平成○○年○○月○○日贈与
共有者 1/300 A 1/300 B 1/300 C
この場合,親が相続税対策と自分が死んだ後に兄弟ABCが財産を巡って喧嘩しないようにという意図で不動産の持分を平等に各子供へ一部贈与されたのだと思います。
ですが,親の心,子知らずではありませんが,このような生前贈与の仕方は,後日トラブルを発生させる可能性があります。
土地と建物,特にマイホームは,両親が亡くなったあと,兄弟のうち誰かが,その家族と一緒に住むことになります。
例えば長男夫婦と子供が両親と一緒に同居しているケースはよくあります。
その場合,不動産の名義を利用する予定がない子供たちに贈与してしまうと,そのマイホームの共有物分割を巡って兄弟がそれぞれ各持分の権利を主張しあい紛争になります。
結局,他に財産がなければ,共有物であるマイホームを売却して,兄弟が各持分で分配金をもらい,同居していた長男夫婦と子供は転居を余儀なくされることになります。
このようなケースでは,
マイホームが唯一の不動産である場合,生前に家族で話し合って,贈与で取得する子供を一人を決めてその人だけが生前贈与を受ける。
他の子供に対しては,自動車,現金や預金有価証券等を生前贈与して調整するという方法がよいかと思います。
生前贈与を法律上のリスクを考えずに実行するのは,おすすめできません。
家族間の紛争を防止するには,将来対象の不動産をどのようにしたいのか具体的なビジョンを描いてから生前贈与を考えることが必要です。
当事務所では,不動産の生前贈与登記(婚姻20年以上の夫婦間贈与も含む)についてご相談を承っています。
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司法書士横山和史