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債務整理で残債務がある場合の和解

 司法書士が業務として行う債務整理で任意整理という手続きがあります。依頼者の代理人となって1社ずつ交渉していくのですが,多くの依頼者の方は,毎月の支払いに困窮しており,従来の支払い条件よりゆるやかな方法に変更しなければ支払いができなくなるケースが多々あります。
 
 最近一部の大手の消費者金融と交渉していて,時々言われるのが利息制限法引き直し後に,一括又は分割で支払が完了するまでの利息を法定金利(18%)を付して和解して欲しいということです。

 しかしそれでは,グレーゾーン金利が有名無実化した今日では,何ら返済条件は変わらず,依頼者の方を一層困窮に貶めます。

 これらの主張をする一部の大手消費者金融が一方では,過払金返還請求をすると「1割」,「3割」,「5割」と減額を求めてきます。

 一部の大手消費者金融の,このような態度は,衡平の見地からまた,企業倫理として許されるものではありません。
 
 もともと多重債務問題を深刻にしたのは,消費者金融の強引な取立てや高金利によりところが大きいはずです。そのような過去の自らの行為を全く反省せず,自らの権利だけ強行に主張する態度には非常に怒りを感じます。

 消費者金融も企業であるなら利益を追求するだけではなく,自らの顧客が困っているならば,救済する方向を検討しても良いのではないでしょうか?
 
 もう少し消費者金融の企業の社会的責任(CSR)を考えて頂きたいと切に願う今日この頃です。

 
 

 

会社に対する金銭債権の株式化 デッド・エクイティ・スワップ

 中小企業の株式会社の経営者の方から,資本金の増額の登記の依頼を受けることがあります。資本金とは,商業登記簿の資本の欄に書かれている会社の財産を示したものです。つまり,ここに例えば資本金1000万円と書かれていれば,法律上は,1000万円の財産がこの会社にあるということになります。

 ところが,実際には,資本は現金で,会社は保有しておらず,社用者や土地建物等の固定資産などになっていることが多く,経営状態の悪い会社では資本が欠損状態になっている場合もあります。

 資本金は,事実上,有名無実になってしまっています。法律と現実の経営のギャップと申し上げたら良いのかもしれません。

 ですから,会社の経営状態は登記簿謄本(登記事項証明書)だけでは,不十分で,貸借対照表,損益計算書等の計算書類を確認しなければ,本当のところは判然としないとされています。
 
 それでも,この資本金に対する会社の信用度は,現在でも取引の社会では生きているようです。
資本金が小さいと取引先から相手にされない。あるいは,官庁からの許認可を得る為に,資本金が1000万円以上必要だから資本増額の登記をして欲しいとご依頼を賜ります。

 例えば,現在500万円の会社が1000万円まで増資するには,現実に現金が500万円あれば簡単ですが,そんな現金を一度に集めることは難しい場合が多いのですが,他にも方法はあります。

 中小企業の社長さんは,会社に対して会計上,お金を貸し付けている場合があります。

 社長さんの会社に対する貸付金を株式に変えて,資本金を増資するという方法を使うことができる場合があります。(会社法207条9項5号)

 この制度は平成18年5月1日から施行された会社法という法律に新しく取り入れられたものです。
金融機関などの債権者が事実上回収が難しい場合に,タダで債権放棄するのも勿体無いので,代わりにその会社の株式を頂いておこうというものです。

 債務者である会社に再生の見込みがあるが巨額な債権の回収は難しい場合に貸倒金になるより株式の方が良いだろうという経営判断をした場合にはメリットが債権者にもあるわけです。(デッド・エクイティ・スワップ 債権の現物出資というものです)

 このように,もともとは,金融機関の債権回収対策として考えられたようですが,中小企業の社長さんの資本増加や将来の相続税対策にもなるということで注目されている制度でもあります。

 なかなか興味深い制度ですので,今後もより,研究をしていきたいと思っております。
 

 

歴史散歩道(琵琶湖周辺)

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先週末,滋賀県の琵琶湖周辺の街を旅してきました。
 まず,最初に行ったのは,源氏物語ゆかりの石山寺。その起源は,奈良の東大寺の大仏を造るように命じた聖武天皇の頃までに遡ります。東大門をくぐり境内の左手に硅灰石による石の山をみることができます。石が地中からタケノコのように伸びだしており,猛々しい印象を受けます。石山寺の「石山」の名称の由来にもなりました。もう少し奥に進むと山なりになった傾斜地に桜やつつじの花が満開でした。さながら植物園のようなお寺でした。石山寺周辺には瀬田川が流れており,この川沿いの桜の花も見事です。

 次に行ったのが大津市にある三井寺です。正式名称は,「長等山園城寺(おんじょうじ)」というそうです。こちらのお寺は境内がとても広く,国宝級の建物や仏像などの文化財が多数保管されています。
 ただし,仏像は秘仏とされ公開されていないものが多いようです。たまたま,約30年ぶりに如意輪観世音菩薩像が公開されていました。普段見ることができない仏像に出会えて感謝感激です。

 このお寺も桜の名所です。境内に咲く桜の花のは何年も年輪を重ねた大きな木の数も多く見ごたえがあります。全国的にはあまり知られていないようですが,これだけ美しい桜の花を見ることができる場所はそんなにもないのではないかと思います。

 また,大津市は,日本の「そろばん」発生の地でもあるそうです。
 境内に記念碑が立っていました。

 滋賀県は近江の国といい,古くから「近江商人」と呼ばれる人たちが日本全国に進出し,現代の日本経済の基礎を作り上げました。
 
 彼らの経営理念に「三方よし」という言葉があります。これは,「売り手よし。買い手よし。世間よし。」ということを総称して「三方」と呼んだ言葉です。顧客にとってお買い得の商品を買って満足してもらう。売り手も利益が出てよろこべる。そして何よりも商売をすることで地域社会や国を繁栄させることができることが理想とする考え方です。つまり,みんなが喜べる商売をしなさいという教えということでしょうか。

 よく考えてみると,最近の企業の不祥事などは,「三方よし」の考え方を経営者が持っていれば防げたような事案が多数あります。僕達の司法書士という職業は,法律上の規制が多く,厳密には一般の商売とは異なりますが,「三方よし」の考え方は業務を遂行するにあたり,たいへん参考になる考え方です。

 何事も自分だけが利益を得ればよいという考え方は長続きしないということですね。
 依頼者の方に何よりも喜んで頂く仕事をこれまで以上にするように仏様に誓った僕でした。

 そして,最後に訪れたのが長浜市。ここは,豊臣秀吉が織田信長の家臣だったころに発展させた街です。残念ながら,秀吉が築城した長浜城は,現在ありませんが,再建されてお城が歴史博物館になっています。このお城の展望台からの琵琶湖は最高に美しい眺めです。下に見える長浜公園には桜が多数あり,ここからの桜もまたなんともいえない美しさです,写真は,長浜公園から写した桜の木の写真です。背景は琵琶湖です。琵琶湖は大きいので海と間違えそうですが,淡水です。波も海のようにあるのでちょっと驚きました。

 長浜の街には黒壁スクウェアという商店街もあり,おみやげ物の雑貨店や名物「近江牛」や「近江地ビール」などの飲食店がたくさんあります。いくつか行きましたが,美味しかったですね。「近江牛まん」という肉まんは,普段食べている肉まんと異なりジューシーな味がしっかりしています。

 歴史や文化そして食べ物に触れた近江の国の旅でした。
 
  旅は,気分転換になるだけではなく,その土地の人々と触れ合うことで色々な刺激をもらいます。
人生で悩んだときのヒントもこんなところに隠れているかもしれません。

 もうすぐゴールデンウィークですね。みなさんもたまには旅行に出かけられたらいかがでしょうか?
 新しい自分を発見できるかもしれませんよ。

 

司法書士に業務を頼むときに注意すること

 みなさん,こんにちは。
このホームページやブログをご覧頂いた方は,これから司法書士などの専門家に仕事を依頼しようと考えていらっしゃる方たちも多いと思います。

 普段,友人や知り合いと話をすると決まって言われるのが「司法書士に頼みたいのだけど相談したことがないから不安」「なんとなく費用が高そうで依頼しにくい」など,市民の方と司法書士との間にはまだ壁があるという印象を受けました。

 確かにそうだと思います。連日,新聞,電車,テレビコマーシャルなどで司法書士事務所の宣伝を見たり聴いたりされる機会は増えた一方で,司法書士の数が多すぎて誰に頼んだらいいか迷ってしまいますね。

 そういう僕も,以前はセラミックメーカーで営業職をしていた普通のサラリーマンでした。大学は法学部を卒業していましたので,司法書士という資格や仕事については漠然とは認識していました。

 でも,実際にどんな仕事をしているか?どんな人たちなのかということまでは具体的に知りませんでした。司法書士試験に合格するまで,司法書士の知り合いは全くいませんでした。

 この頃は,ずいぶん以前になりますが,今ほど司法書士は,世間から知られていなかったように思います。
 
  
 では,具体的に司法書士にお願いする際に注意したほうがいいところはどんなところでしょうか?
 ポイントになる点を3つほど以下に書きます。

 まず,実際に相談の予約して会ってみることをおすすめします。
 これは,司法書士の業務が一般の小売店などから商品を買うのとは異なり,依頼者との信頼関係が大切だからです。司法書士も人ですので,いろいろな性格の方がいます。性格的に合う合わないというのは人間なら誰しもあることですから,まずは,実際に会って見ることが良いでしょう。これはとても大切なことです。信頼関係が築けない司法書士との間では後々トラブルになることもあるようです。

 インターネットなどで見た自分の住所より遠隔地の司法書士に会わずに頼む方がいますが,できれば,避けたほうが良いかと思います。

 というのも,依頼する相手の顔が見えないというのは,些細なことで不安が生じたときに,人の心理として大きな不安になる傾向があるからです
 
  最近はインターネット上のソーシャルサイトなどで,男女の出会いを求めて実際に交際されているケースもあるようですが,様々なトラブルも報道されています。やっぱりメールだけでは相手の心がわからなし,こちらの心も伝わりにくいのだと思います。

 僕の事務所にもお問い合わせメール機能がありますが,メールでの相談ではなく,相談の予約等で活用していただき,できる限り相談者の方と交流できればと考えています。

 それでも,遠隔地の司法書士に頼まれる場合には,実際に会った上で依頼されることをお奨めします。

 ただし,いずれの場合でも相談は,無料の場合と有料の場合があります。事前にお問い合わせしたほうがよいと思います。 

 次に,業務内容についてきちんと分かりやすく説明してもらえるか?専門用語ばかりを使って理解できないような説明ばかりしていないか?というのも選ぶポイントだと思います。どうしても専門家は,専門用語を使うほうが説明が楽なのでそうしてしまう傾向があります。
 
 ですが,相談者の方は,法律や登記についてご存知ない方なのでできる限り専門用語は,外国語と同じようなものなので,誰でも容易に理解できる言葉に翻訳する必要があります。

 こういう難しいことを分かりやすく説明できるというのも専門家としての技量であり実力であると思います。難しいことをわかりやすく説明できる人は,ほんとうにその難しいことを理解している証拠なのです。

 最後に,報酬や実費などの費用の説明をきちんとしてくれるか?残念ながら,このことは,時々,依頼者の方とトラブルになるケースがあるようです。依頼者の方が当初の契約内容と勘違いされているケースもありますが,司法書士がきちんと説明していないケースもあるようです。依頼者の方にとっては,非常に大切なお金を支払われる訳ですから,司法書士としても細心の注意を払うべき点です。

 なお,現在,報酬に対する基準は,ありませんので各司法書士によって異なります。
ですから,報酬の説明というのはとても大切なことなのです。
 
 以上,まとめると①信頼関係が築けるかどうか実際に会って確かめる②専門用語をわかりやすく説明してくれるか③報酬は最初にきちんと説明してくれるか。

 この3点が大切ではないかと考えています。これは,僕が日々,注意していることでもあります。

 ぜひ,ご参考にしてください。 

 

 

多重債務に関連して詐害行為取消権(民法第424条)

 こんにちは。ブログの更新をサボっていまして,いけませんね。今日は,ちょっと仕事でありそうなケースを御紹介したいと思います。

 事例
 Xは平成20年3月1日に,Aに対して2000万円を利息の定めなし,返済期限を平成21年3月1日として約束してお金を貸し渡しました。Aは,その後,折からの不況により,個人事業の売上と利益がのびず,唯一所有していた土地と建物をYに対して売買代金を2500万円として平成20年6月1日に売り引き渡しました。この日に,不動産の名義は,Aに所有権移転の登記がされました。
 そこでXはYに対して民法第424条の詐害行為取消権にもとづいて,AY間の売買契約の取り消しと所有権移転登記の抹消登記手続きを求める訴訟を起こしました。

 この訴訟で,Xが証明しなければならない事実は①XとYの債権の存在②Yが財産権の処分などの行為(この例だと土地,建物の売買)③②の行為が債権者を害することになること(債務者Yにめぼしい財産がなくなってしまったこと)④債務者Yが債権者Xを害することを知っていたこと
 ということになります。

 Xの主張が認められると,売買契約は効力がなくなり,元の状態,すなわちYからAに所有権が戻ることになります。債権者の債権回収を妨害されないように作られた法律の規定をいえるでしょう。

 ただ,こういう訴訟の手間を省く為に,銀行などがお金を貸す場合には抵当権などの担保を不動産に設定するのが普通です。担保が設定されていれば第三者に名義が変わっても債権者が優先権を主張できるからです。

 実際の相談でよくあるのが,このケースのYにあたる方が,多重債務状態になっているのに,不動産を第三者に売却したりするケースです。
 もっともこの後にYが破産申立をすれば,破産債権者を害する行為の否認(破産法第160条)として取引が否定されることになります。

 夫の多額の借金を理由として,夫婦間で離婚を前提に話し合いをして夫名義の不動産を財産分与として妻名義に所有権移転する場合にも注意が必要です。不動産の財産分与の額が「不相当に過大」な場合には,詐害行為取消の対象になります。(最判昭和58年12月19日)

 多重債務に陥った方が,直前で財産を移転させることには,取引の効力が否定される可能性があるので注意が必要です。財産関係の法律は難しいですね。

 では,訴えられたYはどのような反論が考えられるか?
 民法第424条1項但し書きでは,YがAとの契約当時にXを害すべき事実を知らなかったことを証明すれば良いことになります。しかし,事実を知らないことを証明するのは。簡単なようで難しいですね。

 客観的に書類などで「知らなかった」という記録が残るわけではありません。ほとんど作成される書面は「過去に有る事実があった」ということを証明するものです。

 その他の反論として,①売却代金を弁済などその他相当な行為に充てた。②債務者Aの財産状態が復活した③詐害行為取消権が債権者Xが知ったときから2年を経過していたあるいは行為のときから20年経過していたから時効でXの権利は消滅しているという主張が考えられます。

 
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